診療科目・専門外来のご紹介

糖尿病内科

■ 糖尿病の症状とは
■ 糖尿病について
■ 糖尿病合併症について
■ 糖尿病の治療について
■ Q&A

ご挨拶

糖尿病治療の目標は合併症の進行を防いで、糖尿病でない人と同じだけ健康で長生きすることです。そのために大事なことはまず、病院できちんと検査を受けて、治療を継続して行うことです。ですが、せっかく治療を受けたいと思っていても、糖尿病になったのは「自分の生活習慣が悪いため」といったような見方や、糖尿病になったら「食事や仕事を他の人と同じようにはできない」といった誤解が根強く存在しています。でも、そんなことは決してありません。糖尿病に対する社会や医療者からの差別と偏見が、糖尿病を持つ方に社会的・経済的不利益を与え、糖尿病を持つ方の社会的地位や自尊感情を著しく損なっています。これを糖尿病スティグマといいいます。糖尿病の方もそうでない方も、もっと糖尿病のことを知り、スティグマをなくし、糖尿病を持つ方が積極的に治療できる環境が整えば、今よりもっと、治療しやすい世の中になります。また、じっくりと時間をかけて糖尿病の治療に取り組みたいとお考えの方には糖尿病教育入院(2週間程度)もございます。

当院糖尿病内科では糖尿病専門医による糖尿病を中心とする糖代謝疾患、高血圧症、脂質代謝異常、高尿酸血症(痛風)、肥満症などを対象とした診療を行っており、現在4人(うち女性3名)が交代で外来に出ております。

糖尿病により起こる様々な合併症の評価や治療にも対応いたします。また、健康診断などでHbA1c(グリコヘモグロビン) の軽度異常、糖代謝異常を指摘された方、気になる症状がある方もお気軽にご相談ください。

外来担当医表

糖尿病内科

午前
午後

※ △:土曜日は第一・第二・第四土曜日午前中のみ対応可能です

※ 初診時はできるだけ朝食を摂取せずにご来院ください。

担当医のご紹介


糖尿病の症状とは

  1. のどが乾く
  2. 尿量が増える
  3. 尿回数(特に夜間)が増える
  4. 足がよくつるようになった
  5. 両足のしびれがある
  6. 体重が減ってきた
  7. 疲れやすくなった

これらは糖尿病で血糖値が高い状態にある方に多い症状です。気になる症状がある方や健康診断で血糖値が高いと言われたことがある方はお早めに受診をお勧めします。

糖尿病について

糖尿病は様々な原因で血液の中の血糖値が上昇することにより全身に障害を起こす可能性のある疾患です。大きくは以下のタイプに分かれます。

Type.1

1型糖尿病→血糖値の制御を行うインスリンというホルモンを分泌する膵臓のランゲルハンス氏島(β細胞)からのインスリン分泌が極端に低下して起こる。

Type.2

2型糖尿病→様々な理由(遺伝、生活習慣、その他)によりインスリンの作用不足が起こり、血糖値が高くなる。

Type.3

その他→特定の原因(遺伝子疾患、膵がん、ステロイドの内服など)で起きる糖尿病や妊娠中に耐糖能異常を指摘される妊娠糖尿病など。

糖尿病合併症について

糖尿病特有の合併症は細い血管が集まるところに起こります。

糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害は高血糖状態が長く続いた結果、全身の神経に障害が起こる合併症です。高血糖が長く続くと、神経周囲の血管が傷んだりするだけでなく、神経そのものの性質が変わってしまい、神経の働きを悪くさせてしまいます。早期から出現する症状としては足のつりやしびれ、ひどい場合は自律神経症状(立ちくらみ、発汗異常、無痛性心筋虚血、排尿障害、下痢や便秘、性機能障害など)が起こります。

糖尿病性網膜症

高血糖による障害を受けた網膜(目の裏側)の毛細血管は血栓ができて詰まったり、血管の一部が破れて出血したりします (単純網膜症) 。毛細血管が塞がれてしまうと、眼の細胞に栄養を運ぶため血管が拡張したり蛇行したりします (増殖前網膜症) 。毛細血管が塞がり、不足した酸素を細胞に運ぶため、新生血管が発生します。新生血管はもろくて簡単に壊れてしまい、大きな出血を繰り返すうちに周囲に増殖膜と呼ばれる線維性の組織が生じます (増殖網膜症) 。増殖膜が網膜を引っ張り、網膜剥離を起こすと失明の原因となってしまいます。

糖尿病性腎症

高血糖状態が持続すると、腎臓に流れ込んだ血液をろ過して尿をつくる糸球体 の構造が変化して、腎臓の機能が低下し、糖尿病性腎症を発症します。糖尿病性腎症では糸球体の毛細血管からタンパク (アルブミン) が尿中にもれて排泄されるようになります。さらに、進行すると糸球体が硬化して血中の毒素 (尿毒素) のろ過機能が悪化します。最終的には血液を定期的に機械でろ過するいわゆる人工透析が必要になる場合があります。


この3つを糖尿病3大合併症といって、しんけいの「し」、目の「め」、じんぞうの「じ」をとって、しめじと覚えます。細い血管だけではなく、高血圧や脂質異常、喫煙などの合併により、太い血管にも病気を起こします。これを大血管合併症といいいます。心筋梗塞や脳梗塞、下肢動脈閉塞症などがこれにあたります。その他にも感染症(肺炎や尿路感染など)や虫歯・歯槽膿漏、最近では癌や認知症も糖尿病に併発しやすいことが分かってきました。

糖尿病の治療について

食事療法

食事によって、糖がからだに取り込まれます。からだに取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスなどを調整するのが食事療法です。

運動療法

運動によって、糖が使われます。また、筋肉の量が増えることで、糖をからだに取り込みやすくします。その上、脂肪が減ることで、血糖値を下げるインスリンが効果を発揮しやすい環境を作ります。

薬物療法

糖尿病の薬にはいろいろな種類があります。薬の種類としては、飲み薬と注射薬があります。 飲み薬では、インスリンの分泌を良くするもの・効きを良くするもの、食事でとった糖の分解・吸収を遅らせるもの、糖の排泄を促すものがあります。注射には、インスリンの分泌を促す注射や、インスリンそのものを外から補う注射があります。

Q&A

尿に泡がでるのは糖尿病ですか?

尿の泡立ちは尿に含まれるたんぱく質や糖による尿の粘稠度の高さが原因です。尿糖が原因ならば、糖尿病の可能性があります。一方、尿にたんぱく質が混じっているときも、尿が泡立ちます。その場合は腎臓病の可能性もあります。いずれにしても、そういう場合は検尿や採血で病気が分かることもあるので、一度検査を受けましょう。

リハビリテーション病院という名前なので、一般の患者は診てもらえないのでは?

そんなことはありません。外来は普通の総合病院やクリニックと同じように糖尿病・高血圧・脂質異常・高尿酸血症を中心に診察しています。当院はリハビリテーションが必要な入院患者さんを受け入れていますが、当院に通院している患者さんが体調不良や検査が必要な場合にも入院が可能です。前述したように教育入院も行っております。

インスリンを一度始めるとやめられないと聞きました。本当ですか?

決してそんなことはありません。1型糖尿病では血糖値を処理するホルモンであるインスリンが出ないことが疾患の原因ですのでやめることはできません。2型糖尿病では一時的に膵臓が疲弊してしまい、インスリンが出ない状態になっていることがあります。そのような場合は一旦インスリンを注射して、少し膵臓が元気になれば内服に切り替えたりできることがあります。

インスリン注射は痛いですか?

時々、インスリンを打つくらいなら死んだほうがマシだと言われる方がいます。おそらくそれはインスリンを打つという行為に恐怖を感じているのだと思いますが、案ずるより産むがやすしという言葉があります。インスリン注射がまさにその言葉どおりだと思います。インスリン注射は痛くありません。一度打ってみたらわかります。

糖尿病の人は眼科にも受診したほうがいいのですか?

糖尿病は様々な臓器に影響を与えます。目の裏側にある網膜にも高血糖の影響がでると言われています。しかも症状が出たときには進行していることも多いので、糖尿病と言われたら、半年から1年に1回は眼科で検査を受けましょう。

糖尿病の人はお酒を飲んではいけないのですか?

アルコールそのものの作用だけではなく、その代謝産物も、血糖値に影響を与えます。長年の多量飲酒により肝臓や膵臓に障害が加わると、コントロールが難しい糖尿病となるため、糖尿病患者さんは習慣的な多量飲酒は控えるべきです。また、インスリン注射や経口血糖降下薬で糖尿病治療をうけている方は、低血糖が起こりやすくなるので食事を摂らずに飲酒をすることは避けるべきです。注意点として、アルコールで低血糖がおこりやすくなるからといって、アルコールで血糖のコントロールが良くなるわけではありません。低血糖がおこりやすくなるのは短期的な話であり、長期的には過度な飲酒は内臓脂肪の源です。「酒は百薬の長」と言われ、飲酒は日常生活でさまざまな行事と深いかかわりを持っています。疲労の回復やストレスの解消、あるいは人間関係を円滑にするなど好ましい影響を与えてくれます。ただしその効果は適度な飲酒を守ることで得られるものです。

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